DESIGN JOURNEY

~デザイナー ハリエット・セドンとロータスベル誕生の秘話~

ハリエット・セドンは1983年夏、イギリスのオックスフォードで生まれ、イングランド南西部で育ちました。彼女は幼少期の大部分を家族や森林学校でのキャンプで過ごしました。

彼女とテントとの出会いは、10歳の誕生日に両親が贈ったVaude(ドイツスポーツ用品メーカー)のドームテントでした。さっそく裏庭でテントをたてて、夏の間は毎晩そこで寝ていました。彼女にとって外で過ごす自由感に勝るものはなく、自然と一体となる空間にとても幸せを感じました。

『私は5歳の頃からテントデザイナーになりたいとずっと思っていました。幼少期はMeccano(かつてイギリスにあった玩具メーカー)やその周辺で見つけた木片からキャンプ用家具を作るのに費やしていました。16歳のころにはモンゴル風のゲルを作り、それはキャンプ旅行向きではなかったものの頑丈で居心地の良いものでした。大学でも多くの自分のアイデアをスケッチブックに書いていました。しかし大手テント会社入社の為に必要な資格は得ることが出来ず、自分のデザインしたオニオンドームが現実になることはないと感じ、賢明な仕事を得ようと思いました。ウェイマスの中等学校で裁縫の先生として働いていましたが、テント作りへの情熱が私の頭に戻り始め、クラスの生徒にワンマンテント(一人用テント)のデザインと設計を教え始めました。

ある時、転機が訪れます。

今までのキャンプの概念を覆す、Glampingと呼ばれるブームがきました。「オニオンドーム」は突然脚光を浴びるチャンスが来ました。グランピングは、広いヘッドの高さ、高品質の素材、全体的に豪華な感触を求めており、価格についても見合っていました。私は6年前スケッチしたテント設計を掘り出し、意を決しベルテントを輸入したテントメーカーに私のデザインを見せました。すると彼は非常に感銘を受け、試作模型を作ってもらえる工場を紹介してくれたのです。市場調査もせず製作したので周りからは売れないのではないかと心配され、自分自身も6か月間ほとんど眠ることができませんでした。』

こういった経緯を踏まえて、2012年、ロータスベルは商業生産の初年度に入りました。

キャンプフェスティバル(通称:Camp Bestival)では20台ものロータスベルのテントをメインの大通りに設置しました。参加者は初めて見るテントに本当に感銘を受けたと言って興味を持ちました。フェスティバルを通して何百人もの人々とお話をし、驚いたことに1週間以内に7件の注文を受けました。

その後、一度に50テントの注文が行われ、その数か月後、ニュージーランドのジェスから12テントの注文を受けました。事前注文で100個以上のテントの注文があり、飛躍的に数字は伸びていきました。

グランピングブームと彼女のアイデアがピッタリと合致した巡り合わせでした。キャンプ場やフェスティバルでは、レンタルができるように、寝具や防犯施設などがセットになったテントパッケージを提供し始めました。

ロータスベルは現在、カナダ、米国、オーストラリア、ニュージーランド、中国、台湾、韓国、日本、フランス、ドイツ、オーストリア、スイスで販売代理店のライセンスを取得しており、英国に関してはどこでも取り扱っています。

~オニオンドームのデザインの軌跡~

子供の頃に作ったものすべてを振り返ると、ロータスベルの原型が生き生きと見えてきます。

『私の父はいつも「何か良いものをデザインすれば、大勢の人が注目してくれるだろう」と言っていました。そしてそれは現実となったのです。』

My dad always said “if you design something good, people will beat a path to your door,” and they did!

「小さな家」と呼ばれるあらゆる種類のデザインが好きで、大学時代、本当にたくさんの種類のテントのアイデアをスケッチしました。彼女はディスレクシア(読み書きに著しい困難をもつ症状)の手当てがあったので、ツリーハウスやジオドーム、携帯用構造物に関する本を大量に買うことができました。

彼女がドームテントとゲル(伝統的な移動式住居)で過ごした時間は、「円形空間の重要性」と題された論文に影響を与えました。「ラウンド」で過ごす時間には良い点があることがわかったからです。各人が中心から同じ距離に座って、お互いに向かいあうことができるので、平等にコミュニケーションをとることができるのです。

この後、デザインスケッチは、ゲル(別名Yurts)の広々とした空間とベルテントの使いやすさ・携帯性を融合する円形のデザインに焦点を合わせました。

彼女のスケッチブックでは、何種かのテントのデザインが定着し始めましたが、ほとんどが実用的というわけではなかった為、当時の講師には無意味だと言われていました。

テントのスケッチを最初に描いてから約6年後が過ぎました。グランピングブーム到来でチャンスが訪れ、オニオンドームは脚光を浴びることとなりました。製品化にできるまで多くの修正を加える必要がありましたが、家族や友人の助けも借りて、その長いプロセスを終えることが出来ました。

また最近では“Air Bud(2人用ミニテント)”や“Lotus Mahal(イベント仕様の大きなテント)”のようないくつかの新しい製品だけでなく、星空が見えるテントや居心地をよくするための様々な付属品も作成することができました。

現在、ニュージーランド、オーストラリア、アメリカ、イギリス、フランス、ドイツ、カナダ、オーストリア、韓国、台湾、日本に50以上の製品を販売しています。 2017年の世界的な販売台数は1000台を超えています。

PAGE TOP